これがラストなのか?いざ、Perfumeのライブへ。

CMで見かけて、ダンスと楽曲が良いなと思うようになり、
オフィスの人に執拗にパフュームパフュームと勧めていたのと、
それから暫くして爆発的にメディアに露出するようになったこともあって、
僕のオフィスではちょっとしたパフュームブームが起こった。
そのブームの中で特に強くファンを公言する男YさんとEさんの2人がいて、
僕含め3人のにわかパフュームファンクラブが組成された。

基本パフュームの事になれば結束力は硬いが、
時々「3人の内で誰がノッチか?」の議論になり取っ組み合いの喧嘩に発展するも、その度に
「ちょうど3人。3人揃ってパフュームなんだから、がんばろうよ。」と和解。
いいおっさん3人が、そんなワンパターンのループを繰り返した。


そして、「百聞は一見にしかず」。どんなことにしても、その世界の本質は体で感じるもの。と思っている僕は、提案した。
「ちょっと最近正直ファン熱も落ち着いてきましたが、ここで一回実際にライブに行って見ませんか。このままなんとなくファンを終わってくんじゃなくて、僕らがにわかファンで終わるのか、それともさらに浸かるのか、3人の活動にもひとつの区切りになる。ある意味僕らにとってのファーストライブかもしれないし、ラストライブになるかもしれない。いずれにしても良い思い出になりますよ。」と、いうことで、僕がリーダーとなり知り合いに頼んでチケットを手配し、ついにライブに行く事になった。


ライブの日が近づくにつれ、次第になんだかんだ3人のテンションは上がる。
Yさんは雑誌からCDから、ネットで大人買い。また、エレクトロワールドの踊りを完璧にしてる僕と、それを悔しがり、オフィスで1人イヤホンつけてPVガン見(何とかフリを覚えようとしてる)するEさん。

いい大人がほんと何やってんだろ、とは誰もが思ってても言わないし、言えない勢い。
本当にこれが最後なのか、それとも何かの始まりなのか。
いづれにしても3人のファン人生において大きな節目になることは間違いない。


当日、僕らは気合を入れすぎて会場一時間前に到着。
溢れ出す期待を押し殺しながらむりやり雑談をする。オペラグラスを持参したEさんに、ひとつ上を行かれた焦りを感じるYさんと僕。

僕はここでそれぞれのファン力を試そうと、
2人に「今、頭に流れている曲はなんですか。」と聞いた。


僕が聞く。「Eさんは?」
Eさんが答える。「俺、パフュームのポリリズム」。
うんうん、と2人納得。


僕が聞く。「Yさんは?」
Yさんが答える。「ミスチル。ずっとイヤホンで聴いてた。」
「おいおい、パフュームじゃないんだ。そんなんでファンを名乗るな」とEさん。


で次は僕。
僕は正直に答えた。「アクアタイムス」
……Yさん、俺らファン失格だな。。


話題は、3枚あるチケットのうち、1枚だけ整理番号の桁数が圧倒的に違うけどどうするか、という話に。正直に並んだら、1人がはぐれる。
これは僕ら3人にとってひとつの試練か。どうしよう。くじ引きにするか。それとも誰が一番ファンかでひと勝負するか。それとも受け付けのところで「僕ら3人そろってパフュームだから」で押し通そうか。それだったらお揃いのTシャツを買って着ていけば何とかなるんじゃないか。
など、いろいろとセコイ議論をしているうちについに開園時間になった。
結局は入場の時、涼しい顔して3人で並んで入ったらそのままスルー。


いざライブが始まると、1曲目から驚くほどギチギチでガンガンでノリノリ。
前半のフュージョン系のバンドの時の3倍くらいの跳躍力でみんながジャンプしているし、はっきり言ってみんなマジ。
人口密度が濃すぎるので、僕の後ろの方で女の子が一人倒れるし、よっぽど。
しかもみんな動きすぎで全身びしょびしょ。
おまけに異臭。
本気で気持ち悪い。
更に、きったないダミ声で「これくら〜いのか〜んじで〜いつまでもいたいよね〜。ま、ま、ま、まかろに〜」と耳元で歌われイラっとするし、うっとうしい。ノリにかまけて左肩で思いっきり突き飛ばした。


ライブは予想外の盛り上がりと圧迫感で満足だった。
Eさんのオペラグラスは当然使う余裕はなく、Yさんはエキサイトしすぎで回りの観客を若干引かせ、僕は一週間前にゴルフで焼けた手の皮が早くもちょっと剥けてた。たぶん周りとの摩擦。。
とにかく汗でみんな服びしょびしょ。ここまで汗をかくのも相当久しぶり。


会場の外に出て、僕はドリンクを1リットル一気飲み。
汗びっしょりなお互いを指差して「正直自分、きもちわるいよ。」と言った3人の顔は、みんなこの上なくさわやかで、誰が見ても満足感に満ち溢れていた。


その後は飯を食いながらライブの余韻に浸りつつ反省会。パフュームの今とこれからについて、激論を交わす。まだその辺の余力はあったし、それはしなければいけないと思った。


僕ら3人のファン活動の節目と思い出にと催した今回の企画。
ライブ後、3人のうち、誰もがパフュームのファン活動を継続するかの名言は避けたが、何か始まる予感がしていた。